社会に対する強いメッセージ性と高度な映像技術を世界中に示した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」
突如として起きたパラサイト旋風は、映画史に残る社会現象となりました。
第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールの受賞しました。
さらに、第92回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞しました。
これは非映画作品として初のことであり、アジア映画初の偉業を残したことになります。
日本でも地上波で放送され、興行収入も40億円を超え韓国映画として一位を塗り替えました。
そんな”もう観ていない方が、少ない?!”「パラサイト 半地下の家族」のネタバレを含むあらすじと、筆者自身の感想、口コミ等を紹介していきたいと思います。
目次
パラサイト半地下の家族のあらすじ(ネタバレ含みます)
“半地下住宅”に暮らす貧しい4人家族のキム一家。
薄暗い半地下での暮らしのなかで、ピザの箱折をしながら家計を繋いでいました。
https://movie.walkerplus.com/news/article/217258/image1345514/
そんなある日、息子のギウ(チェ・ウシク)の親友ミニョク(パク・ソジュン)はキム家を訪れ、士官候補生だった祖父が集めていた富をもたらすとの言い伝えがある岩をかたどった置物「山水景石」をプレゼントします。
引用:https://twitter.com/fashionpressnet/status/1214154678939766784?s=20
そして、自分が交換留学に行っている間、富裕層のパク家の長女ダヘ(チョン・ジソ)の英語の家庭教師バイトを替わってくれと持ち掛けます。
ミニョクはダヘが高校卒業したら交際をしようと思っており、信用できる親友のギウへ面倒を見て欲しいのだと打ち明けました。
給料がいいと言われたキム家は、そのアルバイトを承諾します。
ギウはパソコンが得意な妹ギジョン(パク・ソダム)に名門大学の入学在籍証明書を偽造してもらい、ついに豪邸へ上がり込みます。
家政婦のムングァン(イ・ジョンウン)に案内されたギウはさわやかな家庭教師を演じ、パク家の夫人ヨンギョ(チョ・ヨジョン)の信頼を得て無事にダヘの英語の家庭教師として雇われることになりました。
https://movie.walkerplus.com/news/article/1004195/image10028544/
さらに、ヨンギョが11歳の息子ダソンの美術の家庭教師を探していることを知ったギウは、美術大学を目指しているギジョンに「イリノイ州の大学で学んだ芸術療法士」と身分詐称させ、ヨンギョへ紹介します。
ギションはダソンの描いた絵を褒めて、インターネットで集めた知識と、得意な出まかせで、
ヨンギョを上手に騙し、無事にダソンの美術の家庭教師となることに成功します。
そして、仕事を終えたパク家の主人ドンイク(イ・ソンギュン)は運転手にギジョンを家まで送るよう命じました。
https://www.cinemacafe.net/article/2019/11/20/64535.html
自分の身元がバレると考えたギジョンは、自分の下着をこっそりドンイクの車のシートに隠し、最寄りの駅前で降りました。
この下着をみたドンイクは、運転手が自分の車を淫らな行為に使ったものだと思い込み、ヨンギョに相談して解雇してしまいます。
そんなとき、ギジョンは新たな運転手として父ギテク(ソン・ガンホ)を関係を偽って紹介しました。
こうしてギテクはパク家の運転手として雇われることとなりました。
こうして家族3人が、パク家へ入り込むことを成功したキム家は、母チュンスク(チャン・ヘジン)を家政婦として潜入させることを企みます。
引用:https://twitter.com/NumeroTOKYO/status/1217677262293590016?s=20
現在の家政婦であるムングァンは、重度の桃の毛アレルギーであることを知り、ある日こっそり桃の毛を浴びせて発作を起こさせました。
そこで、ギテクはヨンギョへ、以前病院で見かけた際結核であると診断されていたのだと嘘をつきます。
ヨンギョは、ある日ムングァンがひどく咳をしている様子をみて本当に結核にかかっていると信じてしまいます。
そして、前住人の有名建築家の時代からこの家へ仕えてたムングァンを解雇することを決断します。
そして、パク家へ架空の高級人材派遣会社を紹介し、チュンスクを新たな家政婦として迎え入れることになりました。
こうしてキム家全員がパク家に雇用され、この家へ寄生(パラサイト)していくのです。
小学生の息子ダソン(チョン・ヒョンジュン)の誕生日、パク家は留守をチュンスクに任せてキャンプ旅行へと出発しました。
不在をいいことに、キム家の4人は、お酒に食べ物を好き勝手に飲み食いしていました。そんなとき、激しい雷雨の中、パク家に家政婦を解雇されたムングァンが訪れてきました。
ギテク、ギウ、ギジョンはバレないよう身を隠し、チュンスンが応対したところ、地下に忘れ物があるから家に入れてほしいと頼んできました。
なんと家の地下には秘密の地下室があり、ムングァンの夫グンセ(パク・ミョンフン)が借金の取り立てから身を隠すために密かに住んでいたのです。
ムングァンはチュンスクにこのことを黙っていてほしいと懇願しますが、その会話を盗み聞きしていたギテク、ギウ、ギジョンが誤って階段から足を滑らせて正体がバレてしまいます。
これにより、ムングァンはパク家に4人が家族であることをバラすと脅してきました。
そこへヨンギョから電話があり、キャンプは大雨で中止になったので帰宅している、お腹が減ったので牛肉の入ったチャパグリが食べたいとの連絡がありました。
キム一家は慌ててグンセとムングァンの口と手足を縛り付けて地下室に閉じ込め、部屋の片付けを行いながら、チャンスクは料理をします。
やがてパク家が豪邸に帰宅し、ギテク、ギウ、ギジョンはテーブルの下へ身を隠しました。
その夜、ドンイクはヨンギョに、ギテクから何やら”臭い”がすることを話していました。その話をギテク、ギウ、ギジョンの3人は身を隠しているテーブルの下から静かに聞いていました。
これがギテクにとってのターニングポイントになります。
この状況を打破すべく計画があるんだとギテクとギウとギジョンは話します。
一方、グンセは地下室にある家の照明スイッチを使ってモールス信号を発して助けを求めるも、誰一人応じる者はいませんでした。
そして、その後雨で中止になったダソンの誕生日パーティーを自宅で開催することになりました。
そこにはキム家の4人の姿もあります。
そのパーティー当日、ギウは山水景石を手に、地下室へグンセとムングァンの様子をおそるおそる見に行きます。
しかし、待ち構えていたグンセに捕まってしまいます。
その時グンセに山水景石で頭を殴られ、大量の血を流して意識を失ってしまいます。
そこから地下室から脱出したグンセは、包丁をもちパーティーに乱入。
ギジョンの胸を刺し、会場内はパニックに。
ダソンは失神、そのダソンを病院に連れて行くためギテクは慌てて車の鍵を探します。
グンセは暴れ回り、チャンスクの揉み合いの末、バーベキューの棒で刺されてしまいます。
そのときグンセの匂いに思わず後退りしたドンイクをみて、思わずギテクはドンイクを殺傷し、逃げていきます。
ほとぼりも覚めてきたある日、高台から旧パク家の豪邸を見下ろしていたギウは、家の電灯が何やら点滅していることに気付きます。
それはモールス信号で父ギテクからのメッセージであることを発見します。
実は行方不明になっていた父ギテクは、はたまた地下室に潜んでいたのです。
新たな家主から食べ物を盗み、ひっそりと生きていました。
このメッセージに気づいたギウは、この豪邸を買えるような財力を持てるようになり、ギテクを助け出す決意をしました。
パラサイトの感想と口コミ
・格差社会という大きなメッセージ性
私の感想としては、「面白いから観て!」とオススメする映画ではないと思いました。
何故なら、「面白い」という言葉で片付けられる映画ではないからです。
観る人によって、観方、考え方が違うこの映画。
一つ大きなテーマとして「格差社会」というものが分かりやすく描かれていました。
韓国では格差社会が問題視され、バラエティで披露される有名人の豪邸と裏腹にこのように半地下で暮らす人々も居ます。
この映画では、貧しい暗い暮らしを印象的に描かれており、私も「こんなひどい暮らしが実際あるの?!」と思ってしまったほどです。
しかし、お金持ちとの格差、社会での格差に直面したことがある人々は、この映画を面白い!!と観ることができないかもしれません。
逆にお金持ちだったり、裕福な暮らしをしている人が観たとしたら滑稽で、面白いと思える映画なのかもしれません。
これがパラサイトの本来のメッセージであり、格差は無くならないという意味なのかなと思います。
この”格差”のメッセージは、映像表現でも表れていて、細部までこだわりがつまった映画とわかります。
“ボンテール(ポン・ジュノ+ディテール)”も余すことなく堪能できる! と評論家たちが声を揃えるほど。
初めはテンポよくストーリーが展開しますので、2回目、3回目観た時にやっとこの細部のこだわりに気づく事ができるのではないかと思います。
説明するよりも実際に映画を見た方が絶対に良いので、是非観て下さい。
俳優陣の個性的な演技
https://www.instagram.com/p/B8qrDVwpcK6/?igshid=sn2cezys1eog
パラサイトの重要人物で大黒柱を演じたソン・ガンホ。
ポン・ジュノ監督の映画では欠かせない俳優の一人ですが、微妙な表情の変化がとにかく上手です。
どこにでもいる貧しい家の主人であり、憎めない男ギテクの表情でストーリーにパッと入り込めるといっても過言ではないです。
そして、長男を演じるチェ・ウシクは、最初の表情、家庭教師となったときの表情、最後の表情。
ストーリーが大きく変わるなかで、魅せる演技は、どれも別人のようで、これもまた引き込まれます。
海外にもオファーされているらしくこれからの活躍にも益々期待が高まりますね。
そして、この映画で最大のインパクトを与えたパク・ミョンフンの演技。
目力と狂気を思わせる全力の演技に、完全に、脳裏に焼き付きました。
地下室の謎というキーポイントで、ここまで観客を驚かせることができるのは素晴らしいなと思いました。
映像にスパイスを与える音楽たち
印象的な映像と、物語。そして音楽にも手は抜いておりません。
重厚感のあるメロディから疾走感のあるメロディ、ちょっとコミカルなメロディと、物語の随所で、流れてきます。
聴覚からも感じられる映像に、ぐっと心が持ってかれます。
この音楽は、坂本龍一も認める気鋭の音楽家“チョン・ジェイル”と言う方が作曲したそうです。
ポン・ジュノ監督は、映像だけでなく音楽の中でも表現したいとのことで綿密な打ち合わせとともに楽曲を作成したそうです。
こだわりがここでも発揮されていますね。
全てが合わさった時の感動は半端じゃありません。
ここでパラサイトを視聴した皆さんの口コミをご紹介します。
10本目『パラサイト 半地下の家族』 貧乏家族の長男が富豪家庭へ家庭教師として雇われたことで事件の歯車は動き出す。 この映画や世界・社会情勢を知るほど物語としても風刺としても完璧で怖くなる。まず目には見えない一線を目に見えないもので表現しようとする発想が既に鬼才。白黒verも観てみたい。
映像と物語について、完璧と絶賛しています。
映画を良く視聴する方は、やはり奥まで観ているようですね。
半地下の住居で暮らす貧しい家族が、お金持ちの家族の生活に入り込んでいく物語 経済格差という根底にある暗いテーマが、ここまでエンタメとして面白く形にされているのが本当にすごい 細部までこだわり抜かれている見どころたっぷり何度も観たくなる作品でした
エンタメとして格差が描かれていることに触れています。分かりやすくそして大胆に描かれた格差というメッセージは、自分たちの身近にあるものなので、より深く考えてしまいますよね。
https://twitter.com/rico_106th/status/1347841900162678789?s=21
https://twitter.com/aco_miimoi/status/1348390189056417792?s=21
俳優さんたちの体当たりの演技にも絶賛の声が。
些細な日常の一部でも、コロコロ変える俳優さんたちの表情にも注目してほしい見どころの一つです。
https://twitter.com/nnu_unn/status/1346132572720402437?s=21
パラサイト見たけど全然面白くない(´ω`)時間のムダだったなぁ〜
— そう。 (@yozakurasou0415) January 8, 2021
https://twitter.com/vglcw/status/1347517010662490112?s=21
ストーリーの題材的に、面白くないと思うひともちらほら。
少し暗いテーマであり、重く現実的ではあるので、映画に非日常を求める人には響かないかもしれません。
まとめ
- ポン・ジュノ監督のこだわりがつまった映像作品
物語も充分楽しめるポイントですが、2回目3回目と楽しめる理由として映像、音楽と細部までこだわりがあるので是非映像で観ていただきたいです。 - エンタメとして格差社会を表現
受け取り方でそれぞれの考察が変わってくるこの映画。
格差社会を改めて考えさせられるような物語です。
私たちの身近でも起きている事実ですが、普段気づかない”気付き”もこの映画にあるかもしれません。 - 明るい映画が観たい人には向いていないかも??
重たいメッセージと、ラストにかかるストーリー展開は、少し目を背けたくなるかもしれません。楽しく観る映画ではありませんので、明るい映画を観たいときにはオススメしません。
ぜひパラサイトを一度映像で観てみてください。